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2020.02.27

 

「新たな有効成分を有する薬剤」の有用性評価

ドイツにおいてジェネリック医薬品の普及率は高く、2015年の処方薬の76%がジェネリック医薬品であった(Schwabe,Paffrath,2016)製薬企業に対して、
参照価格ルールや疾病金庫との割引契約の締結など、安価なジェネリック医薬品の供給を促進する制度が整備されている。

薬局に対しても、先述したように薬効成分が同じ医薬品の中から、より価格の安いものを支給することが義務づけられており、さらにジェネリック医薬品の価格競争が促進されている。これに対して「特許権保護の対象となっている医薬品」に関しては、これまで本来の競争は行われてこなかった。

このため、医薬品市場再編法により、2011年以降新たに販売される医薬品(医療保険による費用償還の対象となるものに限る)であって新たな有効成分を有する物に対しては、早期の有用性評価が行われることになった。その目的は、新たに許可された革新的な医薬品にも出来るだけ早期に償還価格の上限を定めることにある。

早期の有用性評価において「追加的な有用性が認められない医薬品」と決定された新薬については、参照価格グループの「薬理上・治療上同等の医薬品のグループ」に位置付けられ、当該グループに適用される定額か、医療保険による償還の上限額となる。

製薬企業は、自社製品である当該医薬品の価格を自由に決定できるが、医療保険による償還は定額迄しか行われない。
「追加的な有用性が認められない薬剤」であっても、参照価格グループのいずれにも属さないものについては、疾病金庫連邦中央連合会と製薬企業との交渉・合意により償還価格が定められる。

ただし、この場合の償還価格は、当該薬剤と同じ目的を有する既存の治療に要する費用の額を超えてはならないとされている。

「新たな有効成分を有する」いわゆる新薬は、発売時とりあえずは製薬企業が自由に引き渡し価格を定める。
しかし、早期に有用性評価とそれに基づく償還価格の合意・決定が行われることにより、この製薬企業が定める価格は1年間しか通用しないことになった。



参考文献:「海外の薬事制度にまなぶ・時代に寄り添う薬剤師の未来に向けて」  ~ドイツ~岩崎英毅・城戸真由美

 

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