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薬局開設時の施設要件

薬局のマーク（上記）は全ドイツで同一されており、どの町でも薬局が一目でわかる。
薬局のマークはドイツ語で薬局を意味するApothekeの「A」の赤文字に、蛇がまいた杯が描かれたものである。この図柄はギリシャ神話に由来し、医神アスクレピオスの娘であり、健康の女神であるヒギエイアが聖蛇に餌を与える杯「ヒギエイアの杯」とその「聖蛇」を意味する。
薬局は公道に面していなければならず、行動の壁面は薬局内が見えやすいようにガラス張りと決められている。それぞれの薬局がこのショーウィンドゥのディスプレイ（ドイツではデコレーションと呼んでいる）に趣向を凝らしている。
季節ごとに変わる薬局のデコレーションは、地域住民の目を大いに楽しませながら、薬や健康、薬局の役割についての情報を発信している。
日本では調剤室2坪以上、調剤室、売り場スペースを合わせて6坪以上あれば薬局を開設できるが、ドイツでは営業延べ面110㎡（33.3坪）以上の十分なスペースが必要で、医薬品を販売する場所、製剤室、実験室、十分な貯蓄庫、夜勤者のための宿泊施設などの施設要件を満たさなければならない。

医薬品を販売する場所

医薬品を販売する場所は独立したカウンターになっており、POSレジと一体化したコンピューターが備えられている。薬局のコンピューターシステムは、レセプト入力、計数調剤の補助、医薬品情報の管理、相互作用や疾病禁忌などのチェック、レジ、医薬品の発注等の機能がオールインワンで装備され、1台あれば全業務ができる。
複雑なうえ、度々改正される保険制度にも迅速に対応し、より速く、より正確な業務をサポートしている。薬局スタッフはほとんどカウンターを離れることなく、基本的には立ったまま顧客対応を行っている。

製剤室

医薬品は天井まで届く長い奥行きのある引き出し式の棚に収められている。製剤室内では主に水剤、軟膏、ハーブ製剤などの調合が行われる。

実験室

医薬品の品質試験に必要な試薬や器具、蒸留水を作る蒸留装置などが備えられている。

十分な貯蓄

温度20度以下に保ち、医薬品の保管管理を行う必要がある。災害や有事の場合に備え、多めの在庫を備えている。

夜勤者のための宿泊施設

地域の薬剤師会で輪番制を組み、24時間365日医薬品が供給できる体制を整えている。薬局には夜勤当番者の為にシャワー室やベットが備えられている。外からの緊急情報を得るためにテレビの設置が義務付けられている。

参考文献：「海外の薬事制度にまなぶ・時代に寄り添う薬剤師の未来に向けて」　　～ドイツ～岩崎英毅・城戸真由美

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